『紙こより画』体験4
はじめに
一昨日(2025.10.19)、奈良・達磨寺の方丈において、作品展示を兼ねて『紙こより画』の体験会も開催致しました。生憎の天候で参加者は1組(お母さんと娘さん夫婦)3人でしたが、盛り上がっておりました。特に、描き手の「ご主人」は、描きあげたご自分の作品に大変満足されておられました。
『紙こより画』体験に参加された家族
参加されたのは、大阪・豊中から来られた、ご家族(お母さんと娘さんご夫婦)でした。達磨寺のボランティアガイドから「紙こより(ティッシュ・ペーパー)」で「絵」を描く人がいると聞いて、達磨寺の方丈に来られたようであります。「どんな絵を描くのか?」興味を持たれた様ですネ。最初は、私の展示作品を見ておられましたが、ご主人が興味を持たれたのか?、最初に部屋に入って来られ、続いて奥さま、お母さんと入って来られました。

この写真は、『紙こより画』体験に参加されたご家族です。白いワンちゃんを抱いておられる方が、体験にチャレンジされたご主人です。両サイドの女性はお母さんと娘さんです。このお二人は、書道をされている様です。
何を描きますか?
ご主人に何を書かれますか?と尋ねると「達磨」と即答されました。お手本をお見せして、『紙こより画』は、二度と同じものを描くことはできません。今、描こうとされている作品が、貴方にとって、また、世界にとって一枚しかない、「唯一無二」「天下無双」の「絵」であることを説明してから描いていただきました。
見本の「達磨絵」です。
ご主人に、この見本を示し、可否を尋ねたところ、「OK」を頂き、体験に入ってもらいました。


ご主人に、まず「紙こより」の作り方を説明し、「紙こより」の「墨」の吸い上げを良くする為に、「こよりの先」を水に浸けて貰い、そして、まず「どこから描くか」を示しました。
【参考】
①眉間の皺 ②鼻筋 ③「鼻の下」をとばして「口」④顎の髭→鼻下の髭 ⑤眉毛 ⑥目 ⑦耳(目の高さ)⑧顎髭→もみ上げ
⑨鼻髭→顎・もみ上げに繋げる ⑩後頭部の髪の毛 ○頭→着衣 この様な順序で墨を入れると説明した。
【薄墨の入れ方】.
墨蹟の跡に、新しい「紙こより」に水を含ませて「水」を塗るのではなく、「こよりの先」を墨蹟に置いてゆくようにして墨をぼかして行くと説明しました。同時にどの方向から光が入っているのか?を考え、顔の凸凹によって影の着き方が変わる事を頭に入れて、「薄墨」を入れていくと説明し実演しました。
なかなか良い『達磨絵(紙こより画)』の完成

練習は、「画仙紙」にお手本を見て描いてもらいました。いつもなら「紙こより」で○△□を描いてもらって、「紙こより」に慣れてもらうのですが、今回は、細かい事は一切言わずに、「あまり力を入れると、こよりの先が折れて,へたってしまうから、あまり力を入れないで描く」と一言だけ言ったのですが、思った以上に「良い達磨絵」が完成いたしました。 頭の線が紙面からはみ出てしまいそうになりましたので、その時は、「紙面に収めようとしないで、同調子で描く」とアドバイスしました。すると、描き手は、その意味が直ぐわかった様であります。この方は、絵を描くのが好きな人かも・・・と思いました。
2回目は、色紙に描いて貰いました。一度説明しておりますので、何も言わず、ポイントで上手く「紙こより」を使われた時に、「そうそうそう」とだけ言って、書き手に任せて、思うように描いて頂きました。仕上がりは、画仙紙も色紙も、なかなか味わい深い、良い作品が出来上がりました。描いた本人も、出来上がりを見られて、大層喜んでおられました。私がお褒めすると「こよりのお陰ですよ。」と「こより」に感謝されておりました。 強く自我を出さず、「こより」に任せる気持ちで描くことが大事な事のようですね。と申し上げると頷いておられました。

終わりに
今回の『紙こより画』体験会で感じた事ですが、不思議ですね。今回参加してくださったご主人に、細かい事を言わず、「力を入れずにこよりに任せてお描きください」とアドバイスしただけです。しかし、なんとも言えない味わい深い「作品」が出来上がりました。私以上に「描かれた」本人が、あまりに「いい絵」が描けていたので、驚かれておりました。
ご本人は、「ええなぁー ええなぁー」と重ねて言われ、私も「いいですねー いいですねー 流石ですね。」と言うと、描かれた本人は、「いや、いや、こよりのお陰ですわ」と仰ってました。
『紙こより』と『描き手』が一体となって、一本の線、一枚の絵が描き上がりました。そして、もっとよく考えると、「こよりの先」と「描き手」、「紙」、「墨」など、この「絵」に関わる全てのものが、調和・一体となって「一枚の絵」を描き上げているのか ! と思うと、全てのものが「何にものにもとらわれる事なく、自由で柔軟に調和して完成しているのかな」と思いました。「融通無碍」の世界ですネ。「紙こより、墨、紙、水等々」が一つになって、一枚の『紙こより画』が完成するのです。全てに感謝、感謝で御座います。『紙こより画』は、精神の鍛錬にもなると思いました。「紙こよりの先」の一挙動に右往左往する事なく、泰然自若としている事の大切さも感じました。いい勉強になりました。

皆さま、絵顔が素敵ですね。いい顔されてます。
お問い合わせ
『紙こより画』の体験会は、月二回開催しております。
『紙こより画』の体験会を、来月は、11月11日(火)、11月18日(火)の両日.10時~15時、奈良・達磨寺方丈で開催を予定しております。参考までにお知らせ致します。なお、希望される方は下記「お問い合わせ」にてお申込みをお願い致します。都合により、実施日の変更等をする場合は、事前にご連絡いたします。

